



コンドーム自販機を巡る旅 / ヒラタ
¥1,500 税込
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[内容]
仕事終わりの夜。チェーンでない薬局を探し、夜な夜な現地確認を続けたというコンドーム自販機を記録したZINEです。
カセットテープやハンバーガー自販機などの近過去のアイテムを「レトロガジェット」と呼んだりします。本書によりコンドーム自販機も、レトロガジェットの蒐集対象として仲間入りを果たしました。
巻末に掲載されている「コンドーム自販機のある街」というエッセイがとてもよかったです。著者はコンドーム自販機という、見えないものを見る夜の旅に出ながら、町の気配を観察しています。
「最寄り駅の駅前が寒々しい。 自宅から駅へ向かう度にそう思う。 寒々しい駅前は以前、寂しい駅前だった。 この駅は位置的に中途半端な場所で、 販やかな街と街とのちょうど中間ぐらいにある。 人が大きな歓声を上げ、 続けて歓声を上げようとすると1度息継ぎをする。 その息継ぎみたいな駅なのだ。だが寂しい駅前だった時、人の暮らしの匂いはした。 道は狭く入り組み、子どもが集まるおもちゃ屋、 品揃えの良くない本屋、誰が集うのかわからない喫茶店があった。ある時それらが全て消え、 タワーマンションが何棟もそびえ立ち、 狭かった道はやたらに広くなっていた。 息継ぎみたいな駅の駅前に不釣り合いな程の広い、広い道路。タワーマンションの数だけ人は増えたはずなのに、いつも人を感じない。駅前にあった商店のいくつかはタワーマンションの1F のテナントとして残った。 しかし、 あれから集う人は減っていった様に見えた。 この駅前は本当に、ただ息継ぎだけの駅前になってしまったように思う。」(コンドーム自販機のある街)
コンドーム自販機のある街を「懐かしい町」だと感じる著者の感覚にも親近感を覚えます。変わっていかざるを得ない町に対しての、温かいまなざしが宿った文章に心打たれました。
「コンドーム自販機のある街は、一言で言えば 「懐かしい街」 だ。 でも 「懐「かしい街」の一言で済ましたくない魅力がある。コンドーム自販機のある街は、懐かしいままで時間が止まった街ではない。そこに住む人々が代替わりし、 新しい人も加わりながら、みんなで時間の層を大きな布のようにふわりと広げ、 そっと敷き重ねてきた街のように思う。(中略)街は少しの変化を伴いながら循環して行くべきだと私は思っている。でも街に大きな変化が必要な時、出来ることならその変化で置いてきぼりになる人が一番少ない方法を選択して欲しいと思う。」(コンドーム自販機のある街)
著者は旅があまり好きではないと書いていますが、過去の町の匂いが漂ってくるような濃厚な日常圏の記録には、旅の本質が隠されているようです。
[書誌情報]
タイトル:コンドーム自販機を巡る旅
著者:ヒラタ
刊行日:2017年3月26日
判型:文庫サイズ/ZINE
頁数:42P
[状態]
経年によるヨレ等あります。中身に書きこみや角折などはありません。
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