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失われたソフトドリンクを求めて / LSD製作委員会
¥1,430
[内容] 「フリップ」というソフトドリンクをご存知ですか? なにご存知ないですと? ではともに探しましょう。日本のどこかの古い喫茶店の片隅に、人知れず残っているかもしれません。どうしても見つけたいような、でも決して見つかって欲しくはないような。 「フリップよ、おまえはどこにいるのだ」 それはまるでかつて一世を風靡した「ツチノコ」のよう。制作名の「ツチノコ珈琲」とはまさにフリップのよう。一瞬のきらめきを世に放って消えていく儚い泡沫文化を追って、失くしてしまいそうな東京の街を巡るエッセイです。 事の発端は、著者が1950年代のレシピ本で見たことも聞いたこともないマボロシのソフトドリンクを見つけたことから始まります。姿を消したフリップを求めて街と喫茶店を巡り、三島由紀夫、梶井基次郎、伊丹十三、はっぴいえんどに思いを馳せる……。 "私はいつでも、物がそこに無いことばかり興味がある。また、そのことを扱うのにとても向いているのが文章なのだと思っている。文章とは、「いまここにそれがない」を表現するためにある。「テーブルの上に林檎がない」というこの短い一文をあらわす状態を、絵に描いたり、写真に撮ったりするとき、そこにはけっこうな困難が横たわっている。その困難を文章はいともたやすく軽やかに飛び越えていくことができるのだ"(あとがきより) [目次] 中野北口のルノアール 新宿西口のピース 池袋西口のフラミンゴ 東京医科大学病院のコメダ珈琲 西新宿の珈琲西部 浅草六区の音楽喫茶 コラム フリップの材料 [書誌情報] タイトル:失われたソフトドリンクを求めて 著者:LSD製作委員会 制作:ツチノコ珈琲 出版社:古書自由 刊行日:2024年7月7日 判型:A6文庫判/ZINE 頁数:150P
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八画文化会館叢書vol.07 矛盾不純 八画文化会館OFFICIAL FAN BOOK / 石川春菜・小磯竜也
¥1,100
[内容] 2010年5月に活動を開始した八画文化会館が6年目の、まったく節目の年ではない時期に出版した恥ずかしいファンブックです。 編集部の取材記録の中から厳選して、路上からはみ出しているSEX、ニセモノ、交通安全の写真を中心に構成したアートブックを小磯竜也の斬新なアートワークスでお届けします。 作文につきましては、編集長の石川が矛盾や不純を抱えながら本をつくってきた制作の裏側について書きました。 [目次] 第1章 AVメーカー事務所の片隅から 新宿のはずれ、大久保の雑居ビルにて 気鋭のイラストレーター小磯竜也との出会い 自由の矛盾と金儲けの不純 第2章 28歳、私「あっち側」へ行ってきます 酒井竜次の4年ごとに負けるストーリー ジュンク堂新宿店「ふるさとの棚」の無責任編集 『愛知県漂流』に揺さぶられて 赤信号を渡って『八画文化会館』に向かう 第3章 私の答えはただひとつ、続けること。 「ない」ものを数えて「ある」ものまで失くす毎日 とにかく続けること 解説 山内哲也 [書誌情報] タイトル:八画文化会館叢書vol.07 矛盾不純 八画文化会館OFFICIAL FAN BOOK 著者:石川春菜・小磯竜也 出版社:八画出版部 刊行日:2016年8月 判型:A5判 頁数:32P
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文の四文屋 / じぇっきゃ
¥1,000
[内容] SNSで見かけて「吞兵衛にはたまらなく面白そう!ん!!執筆人豪華すぎん!?」ってなって読みたいと思っていたZINEを入手! 高円寺の「ほんの通り道」に出店されていた編者のじぇっきゃさんにお願いして、仕入れさせていただきました。 本書は、居酒屋グループ〈四文屋〉を愛する15名による非公式エッセイ&小説のアンソロジー。 まぁまぁ一杯やりながら、豪華な目次をご覧くださいよ。吞兵衛は吞兵衛の話が好きなんですよ。 「友達の友達は友達」の法則でどんどん増えたり、マッチングアプリで出会って一夜をともにしたり、四文屋でプロポーズしたり、ライフスタイルが変わって子供連れでも呑めたり、もう最終的には酒を吞まなくても時間を過ごせたり。 四文屋で繰り広げられる、人生の美しきワンシーン。 ひとりで、友達と、家族で。呑兵衛たちの人生は、いつだって四文屋という楽園が舞台なんです。四文屋で読んでもよし。読み終わってから四文屋に行くもよし。四文屋帰りに読むもよし。 15本の文章はどれも素晴らしく面白いもので選びきれませんが、3つだけ感想を。 スズキナオさんとのコンビでチェアリングを提唱されていたり、フリースタイルな酒の道を邁進されている酒場ライターのパリッコさん。何度か酒の席でご一緒させていただく機会に恵まれ、その自由でほがらかな飲み方に感銘を受けました。巻頭を飾った「ガード下の煮込みライス」は、青春時代を過ごした高円寺の四文屋の話。必ず煮たまごを添えて頼む「もつ煮込み」や、「煮込みライス」など頼んでみたいメニューがたくさん登場して、すぐにでも四文屋へ行きたくなってしまいました。 冬蜂さんの「マッチ・イン・ザ・ライフ」は、マチアプで知り合った女の子と四文屋で飲んだ日々の回想録。セフレがセフレを紹介してくれるっていう謎すぎる展開に目が点。AVの数珠つなぎ企画モノでも見ているようです。酒場のリアルはフィクションを越えていきました。 じぇっきゃさんの「あとがきにかえて」では、荻窪店の記念すべき第1号目のお客さんとして入店した日が描かれています。四文屋ファンの気合の入ったエッセイで、トリを飾るのにふさわしい愛に溢れた〆の一篇です。 [目次] パリッコ「ガード下の煮込みライス」 武塙麻衣子「お正月に四文屋で話したこと」 むま「四文屋の二人のこと」 西川タイジ「琥珀色」 しらい弁当「四文屋日記」 武内庶民「There is 四文屋 That Never Goes Out」 ヤナイユキコ「ゴールデンタイム」 はせおやさい「四文屋、いつもありがとうの話」 武田俊「梅割り越しに見ていた」 木山映「ウーロン茶で過ごす四文屋」 神田匠「リズムとテクスチャー」 づま「無題日記~四文屋編~」 冬蜂「マッチ・イン・ザ・ライフ」 春野ほこり「下戸の四文屋」 じぇっきゃ「あとがきにかえて」 [書誌情報] タイトル:文の四文屋 編者:じぇっきゃ 刊行日:2025年5月11日 判型:A5判/ZINE 頁数:108P
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明るい水 / 中村道子(道草書店)
¥1,000
[内容] 「忙しい町」である東京から「美しい町」真鶴へと家族で移住し〈道草書店〉という本屋を開いた店主による、幼い頃から現在までの日々を振り返ったエッセイ集です。 人口6,000人ほどの神奈川にある風光明媚な港町・真鶴。東京から移住した一組の夫婦は子育てをしながら地域で暮らしていくため、真鶴に1軒しかなかった本屋の閉店を知り、町の本屋を始めることになったそうです。 まず暮らしがあり、それから家族で何ができるか仕事を探す。その結果が本屋。素敵じゃないですか。 そんな真鶴での新しい書店の日々の出来事に、重低音のように鳴り響く過去の記憶。 生家は文京区の蕎麦屋。お客さん水をこぼしてしまうんじゃないかと怯えていたという少し不器用な少女時代。大晦日の年越し蕎麦。 父親と見に行った新日本プロレス。蝶野正洋のボディーガードに顔面を貼り倒されるという幼き日の衝撃体験。自死を選んだ父の最後に見た景色をともにするため空の浴室に座りこむ記憶。 自営業で苦労してきた母。少しずつ死んでいく母を看取るということ。 介護、子育て、うつ病、自殺、移住。 一度きりの個別な体験のなかに、現代日本の抱える苦悩が浮かび上がってきます。ドープな話もからりとした筆で書かれているので、タイトルの「明るい水」というのが胸に刺さります。 [目次] はじめに 猫と弔い 忙しい町 不在 小さな灯 長い夜 生きている死者 決意というには明るすぎる水 日記 おわりに [書誌情報] タイトル:明るい水 編者:中村道子 出版社:道草書店 刊行日:2024年4月23日 判型:A5判/ZINE 頁数:148P [状態] 印刷段階で見出しなどが若干ズレている箇所があるためアウトレット版の価格になっています。
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オイル・オン・タウンスケープ / 中島晴矢
¥1,000
SOLD OUT
[内容] 作中に登場する固有名詞をあげたくなる作品です。 油絵、サンポップマチヤ、プロレス、ピエール・ボナール、ヒップホップ、ジョイント、ヤサ、Big-A、都営西台アパート、サイファー、シスコ坂、宮下公園、演劇、三島由紀夫、横光利一、有栖川公園、病む街、ショッピングモール、たまプラーザ、田園都市… 著者は1989年神奈川県港北ニュータウン生まれ。現代美術や文筆、ラップなど、領域横断的な活動をインディペンデントに展開されています。音楽のアルバムを聴いているような、流れのいい自伝的エッセイ。油絵のような質感の表紙の手触りが心地いいです。 構成や見出しの雰囲気も素敵です。著者の過去を追体験するように、生まれ育った東京近郊の街が、油絵のように描写されています。巻頭には章立てに沿った町の絵が、油絵でも描写されています。 back in the day。昔々の東京の話。現在の根拠地である町屋、ヤサのあった西台アパート、渋谷のMIYASHITA PARK、市ヶ谷の法政大学、麻布学園、港北ニュータウン、下町、画家だった祖父の元へ回帰する千歳烏山。 東京を転々としていきますが、漂流しているというよりも、それぞれの場所に根差しているという印象を受けました。それは著者が「根拠地を示す」ことを、表現者たるものの前提としているからでしょうか。 "「根拠地」とは、例えば故郷や家庭、性別、あるいは人種など、その人にとって自らの足場になっていると思える要素である。その提示こそが、表現者として出立するにあたっての第一歩だと考える" 読み浸かる愉しみを存分に味わえる本です。 [作者プロフィール] 中島晴矢(なかじま・はるや) 1989年神奈川県生まれ。 法政大学文学部日本文学科卒業、美学校修了。 現代美術、文筆、ラップなど、インディペンデントとして多様な場やヒトと関わりながら領域横断的な活動を展開。主な個展に「東京を鼻から吸って踊れ」(gallery αM)、グループ展に「SURVIBIA!!」(NEWTOWN)、アルバムに「From Insect Cage」(Stag Beat)など。 [書誌情報] タイトル:オイル・オン・タウンスケープ 著者:中島晴矢 出版社:論創社 刊行日:2022年6月17日 判型:B6版/上製本 頁数:240P [状態] カバーの端に経年によるヨレや破れが若干あります。画像でご確認下さい。中身に書きこみや角折などはありません。 [特典] モブ・ノリオによるポストカード状の帯文付き
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本を書く / アニー・ディラード
¥1,800
SOLD OUT
[内容] 素晴らしい造本です。めくり心地のいい紙の手触り。細部までこだわりが貫かれた工芸品のような本です。フォントは、読みやすさとか、目が疲れないとか、実用的なことを考えて選ばれるのだと思っていましたが、上質な時間が過ごせるフォントと色遣いもあるのだということを教えてくれました。 題名の通り「本を書く」ということの喜びと苦しみについて書かれています。何かを書きたい人を鼓舞し戒めてくれる本なので、机の隅に置いてペンシャープナーにしたい1冊です。 著者のアニー・ディラードは1945年、アメリカのペンシルベニア州ピッツバーグに生まれました。『ティンカー・クリークのほとりで』で、1975年度のピュリッツァーを受賞。自然環境をめぐるノンフィクション文学やエッセイなどの、ネイチャーライティングという流派に分類されることがあります。 装丁を目と手で感じたら、つづいて流れるような文章で音を味わえます。彼女の美しい文章をぜひ一読して見て下さい。 「人はだいたい同じものをこよなく愛す。主題を探している作家は、自分がもっとも愛するものはなにかを押すのではなく、自分だけが愛するものはなにかを探す。奇妙なものが、私たちをとらえる。ファンク・コンロイはヨーヨーを操るのが好きだったし、エミリー・ディキンソンは斜めの光線、リチャード・セルガーはきらめく腹膜いフォークナーは梨の木に登った少女の泥に汚れたブルマーという具合に。「シダを学ぶ学生はだれでも、なんらかの理由で感情を掻き立てる自分だけの植物リストを持つようになる」とどこかで読んだことがある。 人間の特別な性癖-ものごとに夢中になること―について書かれたものが、なぜないのだろう。他々だれからも理解されない自分だけが夢中になるものについて書かれたものが。その答えは、それこそまさに、あなたが書くテーマだからだ。なぜかはわからないが、あなたが興味をそそられるものがある。書物で読んだことがないので、説明するのがむずかしい、と、そこから始めるのだ。あなたはそのことに、あなた自身の驚きに、声を与えるために、存在するのだ。」 本文より [作者プロフィール] アニー・ディラード 1945年アメリカ合衆国ペンシルベニア州ピッツバーグ生まれ。ヴァージニア州ロアノークのホリンズ・カレッジに学ぶ。『ティンカー・クリークのほとりで』で、1975年度のピュリッツァーを受賞。自然環境をめぐるノンフィクション文学やエッセイなどの、ネイチャーライティングという流派に分類されることも。日本語訳されている著書に『アメリカン・チャイルドフッド』『石に話すことを教える』などがある。 [書誌情報] タイトル:本を書く 著者:アニー・ディラード 出版社:パピルス 刊行日:1996年11月29日 判型:A5変形判14x1.6x21.7cm/ハードカバー 頁数:138P [状態] 古書としては良好状態です。天地小口に経年によるシミがあります。画像でご確認下さい。中身に書きこみや角折などはありません。 [特典] 「Papyrus letters」という出版社からのフリーペーパー付きでお届けします。